カルトによる恐怖感の刷り込み

 

「脱会すれば、家族が病気になったり、事故に遭って死ぬ」

 

「脱会すれば、死後無間地獄に堕ち、永遠に苦しみ続ける」

 

カルトのこうした教え込みは、一般常識からすれば、荒唐無稽なものであり、事実無根のたわごとにすぎません。

 

しかし、カルトメンバーにとって「刷り込まれた恐怖感」は非常に切実なものであり、リアリティーのあるものです。

 

刷り込まれた恐怖感は、自分を取り巻く現実社会の中で生きていくための自信を損ない、現実吟味のための判断力を狂わせ、不安定なものにしてしまいます。

 

カルトメンバーとの対話の中で、かれらが感じているであろう「恐怖感」を理解し、配慮することは重要なテーマであると思います。

 

恐怖感の類型

 

「恐怖感」にはいくつかのパターンがありますので、次に紹介します。
*「マインドコントロールからの救出」256ページから261ページまで、一部を改編し抜粋して引用)

 

(1)肉体や健康に関わる恐怖

 

・脱会すれば、苦痛の中で死ぬ。殺される。自殺する

 

・愛する人が病気で死ぬ。

 

・脱会すれば、親や子供が病気で死ぬ。事故にあう。

 

・脱会すれば将来子供を産むとき、死産になったり、異常出産で奇形児が生まれる。

 

(2)精神生活に関わる恐怖

 

・死後、無間地獄に堕ちて、永遠に苦しみ続ける。

 

・神との関係を失い、贖罪や魂が救済されるチャンスを失う。

 

・過去のカルマからの問題に取りつかれる。
(過去世で殺人を犯しており、団体から助けてもらわなければ再び殺人を犯す。)

 

・自分の魂が地獄で永遠に腐敗し続けていることを感じる。

 

・ゴキブリに一万回生まれ変わる。死後、畜生界や餓鬼道に堕ちる。

 

(3)世界が滅びる

 

・ハルマゲドンのとき、救うべき価値のない者と判断されて、死ぬ。

 

・大地震や原発事故、核戦争がおこり、そのとき死ぬ。

 

(4)その他

 

・精神科医や精神衛生の専門家に迫害される。

 

・フリーメーソンやイルナミティの謀略に巻き込まれる。

 

・カルト集団から裏切者として指弾をうけ、いままで助け合ってきたメンバーと絶縁してしまう。

 

刷り込みのテクニック

 

(1)占いや予言を利用したテクニック

 

「あなたには水子がいるでしょう?」とか、「家族の方の中に思い病気にかかったことがある人がいるでしょう?」などといった、「予知能力」をひけらかし、それを呼び水に刷り込んでいく方法。コールドリーディングというテクニックを使ったもので、当然「種も仕掛も」あります。

 

 

解説は霊感商法とミニカルトを参考にしてください。

 

(2)期待と不安を操作し、集団での同調圧力を利用するテクニック。

 

入信すれば「功徳がある」などと称して、思い当たることを発表させる。「学校に行くのに一度も信号に引っかからなかった」とか「テレビクルーの取材をうけ、テレビに映った」などちょっとツイてることを発表させてそれを集団で「功徳」などとはやし立てる。功徳があったということは、当然罰があるということで、罰の存在も徐々にリアリティを持ち始める。

 

解説は功徳と罰を参考にしてください。

 

(3)暗闇に閉じ込めたり睡眠時間をはく奪したりして、トランス状態に誘導し、死や地獄のイメージを刷り込む。

  *何時間も瞑想させたり、祈祷させたり、罵声を浴びせたりする方法もある。

 

 

事例  オウム真理教の恐怖感の刷り込み

 

まず、窓がない小部屋に入れられる。明かりは消され、真っ暗な部屋でビデオを見せられる。
そのビデオは人が死ぬシーンをかき集めたビデオ。交通事故や爆発事故の現場や映画のシーンから人が死ぬ場面だけをつなぎあわせたもの。その映画を見ながら、教祖の声が「人は死ぬ。必ず死ぬ。絶対死ぬ。死は避けられない」という言葉をずーっと聞かされる。

 

ビデオはもう一本あった。そのビデオのスピーカーからは地獄の恐ろしい様相が語られる。
地獄に堕ちた人が『お腹が減った』と地獄の番人にすがると、番人に口をこじ開けられて、顎の骨が折れて口の中が血だらけになる。そこに焼けた鉄を注がれる。体は焼け焦げて、それでも死ねない」こうしたビデオを5時間以上見せられる。

 

そのあとにまた別の小部屋に連れ込まれる。ここも真っ暗の部屋。ここではゴォー、ヒューと風の吹きすさぶような気味の悪い音がして、女の人の悲鳴が遠くに聞こえる。これは演劇などで使われる効果音とはわかっているのだが、我慢ができないほど恐ろしいものだ。

 

そこにドン、ドンと空気の振動を伴うすさまじい音がする。すぐ近くで太鼓を打ち鳴らしているのだ。

 

お前はこういうことをしてきただろう。ああいう悪行を積んできただろう。と責め立てながら、聞いてくるたびに太鼓をドンとならす。こうした責め苦を重ねながら、出家することを強要する。
「オウム真理教」追跡2200日 江川紹子 文藝春秋より、

 

恐怖症の克服

 

いくつかのポイントがあります。

 

まず、カルトによって植え付けられた恐怖症は人為的に作成されたイメージであることを理解してください。
(なんとなくしっくりとこなくとも、理屈では理解する)

 

そのうえで、自分がメンバーだったカルト集団の「恐怖症刷り込みのテクニック」について再検討します。

 

詳しくはカルト体験からの心身の回復を参考にしてください。