カルト問題相談窓口 心の相談室りんどう

カルト宗教被害・霊感商法についての推薦図書

 

カルト総論・カルトメンバーとのコミュニケーション

楠山泰道・貫名英俊 共著
「カルトから家族を守る」 毎日新聞社

 

「カルト問題は家族の問題」と言われます。

 

大切な家族がカルト集団のメンバーになってしまった時、どうするのか?本書ではカルトに立ち向かう家族の方の心がまえ、対応の方法が述べられています。

 

これには7つの原則があります。

 

@冷静な初期対応を行うこと
(頭ごなしに教団を否定したりして、対立を深めないこと)

 

A本人との対話のチャンネルを断ち切らないこと

 

B説得よりむしろ自然な対話を行うこと

 

C「入信=宗教依存」の心理的メカニズムを知ること

 

D家庭内だけで解決しようとしないこと

 

E脱会後の精神的ケアを見越した行動をとること

 

F子供の人間としての人格を認めること

 

まず、本人の入信の動機や背景について考えること、本人が何を教団に求めているのかを知ろうとしなければなりません。

 

そのためには本人との誠実な対話を続けながら考えていくしか方法はありません。

 

この本は私が所属している「青少年こころの相談室」室長である楠山泰道と副室長である貫名英舜との共著となっています。

 

お薦めの一冊です。

 

 

 

 

JSCPR(日本脱カルト協会) 編
「カルトからの脱会の手引き」 遠見書房

 

 

脱カルト協会のメンバーによってまとめられたカルト問題の手引きです。はじめてこの問題に触れる方にお薦めします。

 

*カルト問題がなぜ問題とされるのか

 

*マインドコントロールとは何か

 

*脱カルトのための対応の手引き

 

*脱会後の後遺症からの回復について

 

これらのことが複数の専門家によってわかりやすく解説してあります。

 

 

 

スティーブン・ハッサン 著  中村周而・山本ゆかり 訳
「マインドコントロールからの救出」 教文館

 

アメリカの著名な救出カウンセラーであるハッサン氏の著作です。

 

カルトメンバーとの交流にあたっての対応のテクニックが詳細に解説してあります。そのマニュアルは膨大であり、はじめての方には少々難しいかもしれません。

 

でも丁寧に習得していけば、必ずあなたの力になります。

 

また「マインドコントロール」について、この本は丁寧に解説してくれています。

 

種々の俗説にみられるように、マインドコントロールとは人間をロボット化し、ラジコン操縦することではありません。

 

ハッサン氏はこう述べています。

 

「カルトの人格は全く新しく創られたのではなく、カルトに関わる以前の人格の要素がその組成の種になっているのだ。」

 

そう、マインドコントロールとは、人間の善意と理想の進むべき方向を捻じ曲げ、コントロールしていくものなのです。

 

 

カルト信者の心理について

西田公昭 著
「マインドコントロールとは何か」 紀伊國屋書店

 

人は何かを決める時、どれくらい自分の意志で結論をくだしているのでしょうか?

 

「自分で決めた」というのは実は錯覚で、「他人が望む」方向に思考をコントロールされていませんか?

 

人は物事を考えるのに、周囲の人の意見であるとか、その時感じるストレスなど、周囲をとりまく環境に非常に大きく影響されることが知られています。

 

カルト集団は、メンバーの「行動」、「感情」、「思考」、を本人にそれと知られないようにコントロールし、メンバーに与える「情報」を操作することにより、メンバーを従属させています。

 

西田先生は本書で以下のように述べています。

 

「マインドコントロールと聞くと、不気味で異様な秘技のようなものと思うかもしれない。しかし実際にはそれ自体はありふれた社会的影響力の集大成によって成し遂げられる。つまり、心理学、特に社会心理学の研究で明らかにされてきた、何気ない日常の中で作用している認知・感情・行動の原理がフルに活用されている。」     本書54Pより引用

 

そう、メンバーをコントロールするテクニックは実は非常にありふれたテクニックです。しかしそのテクニックも複数重ね使用するとメンバーに対して非常に大きな影響力を行使するようになりうるのです。

 

カルトメンバーの心理を「マインドコントロール」論のみで論じることには無理があります。

 

しかし、カルト集団が行使しているテクニックも知らないことには、メンバーの心理に迫っていけないこともまた事実です。

 

一度は目を通していただくことをお薦めします。

 

 

カナリヤの会 編
オウムをやめた私たち 岩波書店

 

本書はオウム真理教脱会者の会「カナリヤの会」のメンバーによる座談会と、脱会した信者の手記により構成されています。
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*オウム真理教は現在「アレフ」という集団と「光の輪」という集団のふたつにわかれています。

 

この本を読むと、カルトの内部が信者にとって、いかに「魅力のある場所」であったかを理解していただけると思います。

 

ー理想・目標・友情・連帯ー。「自分が今まで欲しがっていたもの」「自分が今まで目指していた目標」がカルトの中にはあるのです。

いや、「ある」と思わされているのです。

 

「思わせる」のがマインドコントロールのテクニックです。

 

そしてカルトから離れようと思いはじめるのは、「自分が欲しがっていたもの」はカルトの中には実はない」ことに気付いたときです

 

「カルトの外にも探せばある」という気づきも必要です。

 

彼らが何を求めているのか?何を目標としているのか?カルトメンバーを説得するときにはこの点を常に意識しなければなりません。

 

そして彼らが脱会するというときは、人生の目標と組織の中の仲間を失うという痛烈な痛みを伴うのだということも理解していただきたいと思います。

 

 

 

カルト脱会後の後遺症

マデリン・ランドー・トバイアス  ジャンジャ・ラリック 著 南暁子 上牧弥生 訳
「自由への脱出」中央アート出版社

 

カルト集団から脱会したカルトメンバーに残る心身の後遺症。この後遺症と回復のプロセスについて詳細に述べられています。

 

カルト集団からの離脱は、メンバーにとって非常に辛い体験となります。

 

今まで信じていた理想と仲間を失うという喪失感。
自分が家族や社会に対し迷惑をかけてきたという自責感。
これからどんな人生を歩んでいったらいいのか、という不安。

 

様々な葛藤の中で、不眠、乖離、フラッシュバックなど、多くの症状が出てくることがあるのです。

 

「カルトの間違いに気づき、離脱さえすればいい」というわけではありません。

 

「離脱したあと、元気を取り戻し、実社会の中で自分の居場所を見つけること」が目標なのだと思います。

 

カルトを離脱したメンバーだけではなく、メンバーを支える家族や支援者にもお薦めです。

 

騙しのテクニックに関しての著作

西田公昭著
「だましの手口」 PHP新書
「騙されるのは愚かな人。自分はしっかりしているから大丈夫」
こう思っている方にこそ読んでいただきたい本です。

 

詐欺師がひとりを騙すためにどれだけの心理テクニックを使っているか?

 

返報性の利用、ローボール、ドア・イン・ザ・フェイス、集団心理の活用・・・などなど数々のテクニック。こうしたテクニックを複合的に組み合わせることで、大きな影響力が発揮されることがあります。

 

詳しいことは本書に譲るとしてここでは一点だけ強調しておきます。

 

人は誠実であろうとします。それは自然なことです。

 

しかし詐欺師はあなたの「誠実さ」をあらかじめ計算にいれ、そのうえであなたの「誠実さ」を利用しようとします。

 

一般社会の中ではそれでもよいでしょう。しかし、詐欺師の前で誠実である必要はありません。

 

この本は西田先生の「マインドコントロールとは何か」をより解りやすく、豊富な実例をあげながら紹介されています。はじめてマインドコントロールの仕組みを学ばれる方はこちらからお読みになられるのもよいと思います。

 

 

イアン・ローランド 福岡洋一訳
「コールドリーディング」 楽工社

 

占いはなぜ当たるのか?いや当たったと思わされるのか?

 

タロット占いを例にあげながら、、著者のローランドは詳しく解説してれています。

 

「あなたはとても思いやりのある方なのですが、時として利己的になることがあります」

 

「非常に物静かな方なのですが、状況が整えば、盛り上げ役になりますね」

 

といった独特の言い回しにコツがあるのです。

 

こうした、「コツ」はたくさんあって、これらが複合的に組み合わされたものがコールドリーディングと呼ばれる話術の技法です。

 

私は占いを否定しません。

 

占いは私たちの生活を潤してくれるものです。また占い師の方のほとんど大多数は良心的な方なのだと思います。

 

ただし、占い師に怖いことを言われたら・・・・「家族が不幸になる」とか「先祖の因縁が祟っている」なんてことを言われたら・・

 

この本をひも解いて、占い師に言われたことを振り返ってみましょう。

 

 

 

 

菊池聡 谷口高士  宮本博章 編著
「不思議現象 なぜ信じるのか北大路新書

 

幽霊が本当にいるのかどうかを議論したとしましょう。おそらく議論の決着はつかないだろうと思います。

 

しかし、あなたが実際に幽霊を目撃したとすればどうでしょう?誰に何と言われようとも、「幽霊はいる」と信じるのではないでしょうか?
だって「実際に見た」のですから。

 

このようにリアリティを伴った「体験」は私たちが物事を判断するのに大きな影響力を発揮します。
しかし裏を返せば、「体験」を偽装すれば人の判断をコントロールすることもできるということですね。

 

「幽霊を見た」という体験を偽装させれば、「幽霊がいる」ということを信じさせることができるということです。

 

この世には不思議なことがたくさんあります。すべてが科学で割り切れるか、というとそうでもないと思います。

 

しかしながら、「信じる」まえに、一度は体験を検証してみてみいいかもしれませんね。

 

予言・予知夢・偶然の奇妙な符号・・・

 

本書はこれらについて心理学的な見地から丁寧にわかりやすく解説してくれる好著です。

 

お薦めです。