カルト被害相談窓口  心の相談室りんどうのブログ

 

カルトの勧誘その実態〜宗教カルト・高額な情報教材・マルチ・疑似医療

 

はじめに・・・ カルトはどこにでも存在する

 

「カルト」って、みなさんはどんな集団をイメージしますか?

 

カルト組織のメンバーってどんな人たちだと思いますか?

 

どこかおかしな恰好をしていたり、変な事を口走っている人がメンバーとして活動していると考えたりしていませんか?

 

そうであれば、実態は相当違っているとお考えください。

 

カルトメンバーかどうか、は外見や第一印象からは判断できません。

 

カルトメンバーの容姿や外見はまったく普通です。

 

そして、いわゆる「いい人」が多いです。

 

決して「特殊な育ち方をした人」とか「情報収集能力が低い人」がメンバーとして活動しているわけでもありません。

 

良識ある「いい人」が運悪く勧誘され、組織の中では様々な人権を蹂躙された挙句、金銭や労働力を詐取され、組織の外では、反社会的な資金集めと勧誘に従事させられる。

 

これがカルト問題なのです。

 

カルトは「宗教」とは限りません。近年では心理療法、疑似医療、ネットワークビジネス、政治結社など他分野にわたりカルト化が疑われるグループが存在しています。

 

「宗教ではないから大丈夫」などといった勧誘者の言質に騙されてはいけません。

 

 

この文章をお読みななられている方にいくつか注意してしていただきたいポイントが四つあります。

 

まず、カルトは身近にいること。自分もカルトからの勧誘をうける可能性があること

 

これを意識してください。

 

カルト勧誘の窓口は街中にあふれていて、カルトメンバーは偶然を装って接近してきます。

 

次に個人情報(携帯やLINE含む)を勧誘してくる人に安易に教えないこと

 

身元がはっきりしている人ならともかく、今日知り合った人と連絡先を交換することにはリスクがあります。

 

そして、不安な事や疑問は家族や友人に相談すること

 

あなたが大学生であれば、大学の学生相談室に相談してください。

 

最後に、少しでもおかしいと思ったら、連絡を絶ち、彼らと距離をとること
(断ったら悪いと感じるのは、すでに相手の術中にはまっているということです。)

 

カルトの勧誘は近年非常に巧妙になってきており、正体を隠して接近してきた場合、見破るのはなかなか難しくなってきています。

 

ですから、「この団体は何かおかしい」「何かを隠している」と感じたときに、毅然として連絡を絶つことができるか、距離をとることができるか、が重要なのです。

 

そのころには彼らとも相当に仲良くなっており、連絡を絶つことは苦しいことかもしれません。

 

しかし、ここで情に流されてはならないのです。(詳しくは後述します。)

 

それから最後にもうひとつ。

 

勧誘行為により実害を受けているなら、その時には相応の対応(距離をとり連絡を絶つ、学生相談室などに相談する等)が必要ですが、そうでなければ
学内にカルトメンバーがいたとしても、彼らを不当に傷つけてはいけません

 

中傷したり、罵声を浴びせたり、プライバシーを暴き立てたり、、、などということをしてはいけません。

 

彼らにも人権はあり、それはあなたの持っている人権と同じく尊重されるべきものです。

 

 

さて、それでは、カルトの勧誘の実態について解説していきます。

 

 正体を隠して勧誘する

 

カルトは初対面の相手を勧誘する時、自分の属する組織名を最初から明らかにされることはまずありません。

 

カルトメンバーは趣味のサークルや公共の場で偶然を装って接近してきます。

 

誰だって、日常の生活空間の中で、カルト組織への勧誘が行われているなどとは普通考えません。

 

この油断を上手に突かれてしまうのです。

 

これまで、報告されてきたケースをいくつかご紹介しましょう。

 

大学の構内

 

入学式の前後、サークル新歓の際、サークル勧誘を装って勧誘するケースが最も多く報告されています。

 

・バレーボールやサッカーなどのスポーツサークルや趣味のサークルを擬態するケース

 

親切な先輩を装って、学食や掲示板の前で勧誘するケース

 

声かけの事例

 

「どの講座を取るのか決めた?良かったら授業のとりかたを教えてあげようか?」

 

「社会問題に関心があるのですか?よかったら一緒に話をしていきませんか」

 

「社会問題について考える」とか、「人生を哲学する」などというサークルを擬態するケース。

 

福祉分野でのボランティア活動を名目をした勧誘

 

街角で

 

「募金とアンケートに協力してください」と声をかけてくる。

 

「就職支援をしているものです。」と声をかけてくる。

 

 

書店で本を選んでいる時、「なにかにお悩みですか?」と声をかけてくる。

 

占い師を装って声をかけてくる。

 

声かけの事例

 

「私は占いを研究している者ですが、あなたの顔にとても気になる人相が出ています。何かお悩みがあるのではないですか?そこの喫茶店で30分だけ話をしていきまんか?」

 

「本当の自分を見つけてみませんか?3日間で生まれ変われます」

 

しばらく音信普通だった同級生や先輩が突然連絡してくる

 

声かけの事例
「今度の日曜日、会って私の話を聞いてくれませんか?あなたの人生にとって大切な話があるんです」

 

「今度メシでも食おうよ。凄い話があるんだ」

 

公共の施設や医療機関で

 

手芸や絵画など市民の趣味のサークルで、サークルメンバーを装い勧誘する。

 

宗教団体がダミー組織をつくり、「宗教について学ぶ」などという名目の市民講座を開催する

 

医師や看護師などの医療技術者が、「うつ」や「がん」、「発達障害」などが「??をするだけで治る」などと宣伝、セミナーを開催する。

 

街コンなどに潜入し、交際相手を探しているフリをして勧誘する。

 

ブログやSNSを利用し、起業セミナーや高額情報教材の購入へと勧誘する。

 

いかかでしたか。

 

まさか、と思う場所でカルトメンバーは接触してくるのです。

 

では、どうすればいいのでしょう?

 

最初の段階ではわからなくとも、カルトのサインが見えてくることがありますのでご紹介します。

 

カルトのサイン
*江川紹子 「カルトはすぐ隣に」岩波ジュニア新書より引用させていただきました。

 

●お金の話が出た場合。
途中で会費やセミナー代などの話が出たら、警戒したほうがいい。
(たとえ、法外な金額でなくとも)

 

●話が最初と違っていたり、何かの嘘が含まれている場合
宗教ではないセミナーのはずなのに、教えている人が宗教団体の教祖だったり、講師だったりした場合
雑貨であるはずのアロマオイルを、飲用したり、体に塗ったりすることを薦めてくる。

 

●「これは誰にも言ってはいけない」などと秘密を守らせようするような場合。
家族には内緒にしてくれ、などと頼まれる
「インターネットには嘘ばかり書かれているから見ないように」、などと言われる

 

このようなサインが見えた時には危険です。
すぐにその集団からは距離をおきましょう。

 

「どこか怪しい。なにかおかしい」と感じているあなたの心の声はきっと正しいのです。

 

不安につけこんで勧誘する

 

人生うまくいかない時はあるものですし。これからの人生に不安を感じる時はあるものです。

 

こうした不安な時期は、通常よりも親しげに接近してくる人物に対しての、リスクを判断する判断力がうまく働かなくなることがあります

 

カルトはこうした、人が迷いと不安を感じやすくなる時期を狙います。

 

言い換えれば、迷いと不安を持った人が集まりやすい場所に現れるのです。

 

いくつか事例を紹介しましょう。

 

新年度が始まる、大学のキャンパスで

 

長く苦しかった受験勉強が終わり、肩の荷がおりてホっとしたものの、一時「これからの目標が見えなくなる」ことがあるものです。

 

あるいは一時志望の大学への入学を果たせず、空虚感に悩む方もいるかもしれません。

 

また、はじめて一人暮らしを始めたりした時など、生活の変化に伴うストレスや、今まで仲の良かった友人と離れ離れになってしまった孤独感が重なり、これからの大学生活に対して不安感が強くなることがあります。

 

こんなとき、カルトメンバーはひっそりとあなたに接近してきたりします。

 

学生食堂で食事をとっていたり、学部の掲示板を眺めていたりする時、キャンパスを歩いていたりするときに、偶然を装って彼らは声をかけてきます。

 

最初は当たり障りのない話から始まります。

 

少し親しくなってくるとこんな問いかけがはじまります。

 

「あなたの生きる意味は何ですか?」

 

「あなたの人生の目的は何ですか?」

 

こんな問いにすぐに答えられる人などいません。

 

しかし、不安や空虚感を抱えている時など、こうした問いが心に刺さってしまうことがあります。

 

彼らの言葉は続きます。

 

丘があるとします

 

その丘の下に大きな岩が置いてあって、苦しい思いをしながらこの岩を人が持ち上げていきます。

 

その重さに腕がブルブルと震え、全身汗みどろになって、苦しい思いに耐えながらやっと岩を上まであげたところ、あろうことか岩が下におちてしまいます。

 

この人はあきらめずに落ちた岩を必死の思いで持ち上げてくのですが、丘のうえまでいくとまたガラガラと岩は落ちてしまいます。

 

落ちては上げ、上げては落ち。

 

岩を上げる苦しみは永遠に続いていきます。

 

この岩を上げている人とはあなたのことですよ。と話しは続きます。

 

「人間は生まれた時から必死になって岩を持ち上げて、それが落ちる、そういう営みを続けてきたんですよ」

 

人は頑張って勉強して、頑張っていい成績をとって、頑張っていい会社に入って、頑張って仕事をして、頑張って出世して、頑張って財産をためて、結局人生の最期には何が残るのだろう?

 

すべてのものは永遠ではなく、崩れ去っていくもの・・・・

 

虚しいよね・・・・

 

だから「永遠に崩れない幸福」を探しに行こうよ。

 

「大学に受かるまで随分と苦労したと思う。でも合格したら、また新しい悩みがでてきたのではないかな?」

 

「結局、人は悩みや苦しみから逃れられない。望みのものを手に入れたとしても、それは束の間のものではないのかな?」

 

「名誉を手にしたり、財産を設けたりしても、その満足感はいっときだけのもの。結局のところ永遠に崩れない『幸福』なんてないよね」

 

「だから永久に色焦ることのない真実の幸福を見つけに行こうよ」

 

と話が続きます。

 

興味を惹かれて後をついていくと、その先には危ない世界がまっています。

 

子育て中の女性の不安につけんでの勧誘

 

出産直後のお母さんや子育ての不安を感じているお母さんが勧誘のターゲットとして勧誘されるケースが多発しています。

 

はじめての子育てであれば、赤ちゃんの健康のことや、育児の方法などで悩みがつきないものです。

 

さまざまな文献やアドバイスがあり、多種多様な子育て情報のうち、何が正しいのか、間違っているのかもわかりません

 

そのような時には保健師や助産師など、公的な職種についている人の意見を参考にするのが一番確実のように思われますが、最近ではトンデモな育児法を伝えてしまう保健師や助産婦が報告されています。

 


・「離乳食を食べない子は妊娠中のママの食生活が影響している」

 

・「乳腺炎にはキャベツを貼ればいい」

 

こうしたトンデモなアドバイスは聞き流しておけばいいのですが、過去には助産師の非科学的なアドバイスにより新生児の死亡事故も発生しています。

 

 

平成21年、山口県で、「自らの力で治療に導く自然療法」を代替医療団体に所属する助産師が、出生後の女児にビタミンKを与えず、代わりにレメディと呼ばれる砂糖玉を与え、女児がビタミンK欠乏症で死亡するという事件がありました。

 

 

災害被災地での勧誘

 

震災や水害などで苦しむ被災地においても、勧誘が確認されています。

 

まずボランティアを装って被災者に接近し、信頼関係を作った後、「心のケア」などと称し自教団が行っているヒーリングを実施してみたり、仮設住宅で自教団のビデオを見せてみせたりするのです。

 

また、災害にかこつけた勧誘も行われることがあります。

 

・「大津波も自分たちの教団施設だけを避けていった。」

 

・「今回の災害が起こったのは、我々の宗教活動が世に理解されないため、天の怒りに触れたのだ!救われるには我々の教団に入信するしかない!」

 

このような事を言ってのける教団もあるのです。

 

人は不安に駆られる自信を失うと、親切そうに寄ってくる人間に対しては警戒心が緩み、心を許してしまいます。

 

こんなときには悪意がある人間が寄ってくることもあります。

 

 

 SNSでの勧誘

 

LINEやフェイスブックにツィッターやインスタグラムなど、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が今や花盛りです。皆様の中にも楽しんでおられる方は多いのではないでしょうか?

 

短時間で多くの人にアクセスすることのできるSNSは面白く、またうまく利用することで新しい友人を作ることも容易です。しかしながら、「顔もしらない相手」との交流にはそれなりのリスクもつきまといますよね。

 

SNSを利用したナンパやキャッチセールスは昔からありました。
最近ではカルト集団も勧誘の手段としてSNSを積極的に利用しています。

 

ある女子学生がSNSで知り合った女性に、「女性だけのパーティーがある」と誘われてでかけていきました。当日パーティ会場にでかけてみると、いきなり複数の女性に取り囲まれてしまいました。

 

「なんだか怪しい雰囲気だな」と感じてたのですが、仕方なく話題を合わせて話をしていると、「あなたには秘めたる才能がある」とか「特別なものを持っている」などと口々に言い始めました。

 

怖くなって帰ろうとしたところ、今度は「ここで帰ったらあなたは地獄に堕ちる」とか「私たちの教団を信じるまでは帰さない」なんて脅迫がはじまりました。周囲を取り囲まれてしまい、「帰りたい」と言っても帰してくれません。

 

脅迫まがいの勧誘をうけていた頭がクラクラしてきました。「なんとかこの場を切り抜けなければ」と焦ってしまったこの女子学生は、差し出された「入信届」に住所と電話番号、メールアドレスと本名を記入してしまったのです。

 

(被害者が特定されぬよう、複数の事例が合成させています)

 

オシャレで機能的なSNSのユーザーにカルト宗教の信者がいるなんて信じられないと思います。

 

そこが盲点なのです。

 

マインドコントロールのテクニック

 

ここではカルトの勧誘のマインドコントロールについて解説をしていきます

 

 その1 親身になって共感し、話を聴く。

 

カルトメンバーは、とても親切です。

 

あなたの悩みを真剣に、親身になって聞いてくれます。

 

・親との関係や夫婦の関係についての悩み

 

・自分の性格についての悩み

 

・あなたが感じている社会の矛盾

 

・あなたが抱えている病気や障害についての悩み、家族の病気についての悩み

 

こうした悩みを丁寧に、しっかりと聴き、あなたに寄り添ってくるのです。

 

彼らは、「私にも同じような体験があるよ」などとウソであっても大きく頷きながら話を聞いたりします。

 

そのうえで「あなたは良い人だ」「あなたは素敵な人だ」「あなたのように人生をまじめに考えている人はいない」などと勧誘する人を褒めちぎります。

 

こうした経験は日常生活ではなかなか経験できないことですし、ちょっとした感動体験となります。

 

人は自分の感情を肯定され共感され、理解されるとと、聞き手の人物の事をとても好きになるものです。

 

相手のことを無条件に信頼したくなるのです。

 

そのうえで電話に手紙、訪問と何度となく繰り返し、パーティや講演会などに一緒に参加しなんとなく一緒にいる時間を増やします。

 

もっとも優しいのは最初のうちだけです。

 

勧誘者は意図的にいい人を装っているのですよ。

 

その2 「願望は必ずかなう」と断言する

 

今まで「切望してきたもの」が手に入る、実現するということを力強く断言します。

 

 

・病に苦しむ人には「必ず病は治ります」

 

・子供が欲しい人には「必ず子宝に恵まれます」

 

・内気な性格に悩む人には「前向きな気持ちになれます。強くなれます」

 

・お金もちになりたい人には「楽してサクサク稼げます。億稼ぎます」

 

願望が実現すると言われることは、人の心に非常に大きなインパクトを与えます。

 

それが「自分を大事にしてくれる人」であれば、もうこの人とは離れることが難しくなります。

 

その3 「返報性の法則」を利用したテクニック

 

途中でどうも話が怪しいと感じ始めたとしましょう。

 

しかし、「どこかおかしい」と感じても、自分の事を親身になって心配してくれたり、すでに仲良くなってしまっている人に対して、「NO」ということはなかなか難しくなることがあります。

 

誰かから贈り物をもらうと、お返しをしない申し訳ない気持ちになりますね。

 

親切にしてくれた人の好意を裏切るのは辛いことです。これは誰しも同じです。

 

しかしながら、この心理を勧誘する側は熟知しています。

 

だからこそあなたに優しくしてきたのです。

 

カルト宗教のメンバーとして活動し、のちに脱会した人たちは勧誘されていた当時にことを振り返ってこう述べています。

 

 

「あれほど親身に、大事にされたことはそれまでまでなかった」

 

 

ここでふたつの事例を紹介しましょう

 

事例1

 

そこがアレフ(オウム真理教)であることに気がついたのは、サークルに入つてひと月たった時でした。

 

昔のサリン事件や弁護士誘拐殺人事件のことが頭をよぎり、サークルをやめようとしたのです。

 

そのとき先輩はこういいました。

 

「実際に私たちと話してみてどうだった?あなたはネットやマスコミの情報と、目の前で実際に見て、話をしている私たちとどちらを信じるの?」

 

「マスコミとネットの情報を鵜呑みにしているだけじゃないの?」

 

「今まで実際に付き合ってきた私たちのことが信用できないの!」

 

このように言われて何だか動揺してしまいました。

 

少し迷っていると先輩はこのように畳みかけてきました。

 

「やめたいのならやめたっていいのよ。私はあなたがやめたってあなたとつきあうから!」

 

この一言にグッときてしまいました。

 

ネットやマスコミの情報は間接的に見聞きしたものにすぎない。

 

そうではなくて、自分自身が実際に話をしてきて、実際に触れてきた優しい先輩のことを信じたほうがいいと思い始めました。

 

事例2

 

そこが有名なカルト教団だとわかったとき、その場で抗議しました。

 

「なぜ最初から宗教のサークルだって言ってくれなかったの!なぜ最初にこの団体の正式な名を教えてくれなかったの?

 

勧誘してくれた先輩は泣きながら言いました。

 

「もしも私が本当のことを伝えていたら、あなたには出会えなかったのよ。こうしてこの場にも来てくれなかったでしょう!

 

実際に見て、経験してみてどうだった?マスコミの情報や、ネットで言われていることとずいぶん違うでしょう。

 

あなたは自分で体験したことと、ネット上の情報と、どちらを信じるのですか?」

 

「私たちがそんなに危ないことを信じているように見えますか?何も話を聞かないのに、私たちを噂だけで判断するのですか?」

 

ここで、ひとつ「格言」をご紹介しましょう。

 

いい人が酷いことをしているのがカルトである。

 

カルトメンバーはもともとは善良な人たちです。彼らなりの理想があり、彼らの意識の中ではカルトの活動も「世のため、人のため」と信じてやっています。

 

その純粋さが説得力となります。

 

しかしながら、かれらの活動はしばしば反社会的なものになってしまっているのが実情で、だからこそ彼らは「カルト」とよばれてしまっているのです。

 

その4 ローボールのテクニック

 

決断をためらっている人に対してよく使われる、勧誘を小出しにしていくテクニックです。

 

「3分だけ話を聞いていきませんか?」 「はい」

 

「ちょっとそこの木陰のベンチで話をしていきませんか?」 「はい」

 

「ちょっとだけ部室を覗いていきませんか?」 「はい」

 

といった具合に小さなイエスをもらいながら要求を拡大していくテクニックです。

 

最初はごくありふれていて簡単な事へのお誘いなので、ついついイエスと答えてしまう。

 

最初のステップで成功すると、少しづつ要求を拡大していきます。

 

「今日は楽しかったね。また明日部室においでよ」

 

明日部室に行くと

 

「今度、学習会があるので参加しませんか?」

 

次には

 

「今度、めったに会えない先生が来て、講演会をやるんだけれど、来ない?」

 

という具合にです。

 

勧誘者と親しくなり、「断るのが悪いな」と感じ始めると、相手はどんどん要求をエスカレートさせていきます。

 

その5 「チャンスはいましかない」と錯覚させるテクニック

 

あと二人で定員の人数が埋まります。決めるなら今ですよ。」

 

「あの先生の講演が聴けるのはこれが最後のチャンスですよ。」

 

「今決断しなければ後悔しますよ」

 

「この出会いがあなたにとってしあわせになる最後のチャンスです」

 

「あなたは選ばれた人です。あなただけに特別に教えてあげます」

 

チャンスが限定されていたり、めったにないものだったり、珍しいものだったりすることをアピールします。

 

その6 権威性をアピールするテクニック

 

「会長は国際的に活躍しているんです。また国連からも評価されています」

 

「大学教授が(政治家の先生が)顧問を務めています」

 

権威のある人、権威のあるが関係することをほのめかせば、なんとなく胡散臭そうな団体や行動も信用のおける安全なものと錯覚してしまいます。

 

あるひとつの分野については専門性を持っていたとしても、他の分野でも専門性があるか?というとそんなことはありません。

 

たとえば、世界的な物理学者であっても、メンタルヘルスについても専門家であるとは限りません。

 

まったく違う分野の学者が推薦文を書いていたりしたら、いったんは警戒するようにしてください。

 

これら5つのテクニックはひとつひとつ単独であれば、影響力は小さなものです。しかしながら、これらの勧誘テクニックを複数で、しかも同時に使われるとその影響力は非常に大きくなり、私たちの判断を大きく狂わしてしまうことがあるのです。

 

私たちの心は自分が思うほど自立しているものではないし、強固なものでもありません。常に他人の言動や行動の影響を受け、絶えず変化を繰り返していくのだということを心にとめておきましょう。

 

 

 迷った時には誰かに相談を!

 

もしもあなたがカルトの勧誘のさなかにいるとしたら、どうすればいいのでしょう。

 

・「何かおかしい」と感じたら、その心の声にすぐに従うこと

 

・今付き合っているグループの事を誰かに相談すること

 

・ネットや書籍でできる限りそのグループについて調べること

 

単純なことですが、この3つだと思います。

 

カルトは新しく勧誘したメンバーに自分たちの正体がばれてしまうことを恐れます。

 

ですから外部からの情報には極力触れさせないように画策します。

 

「これは特別な講義です。ここで教わったことは誰にも話してはいけません」

 

「インターネットには嘘ばかり書かれています。見てはいけません」

 

「もう大学生だし、大人なんだから自分のことは自分で決めなくちゃ。いろいろなことを親に相談するなんて、自立してない証拠だよ。みっともないよね。」

 

こんなことを言われたら、誰だってカチンときますよね。そこが狙いなんです。「俺は自立している」という意地やプライドがあれば、不安なことや疑問に思ったことを親御さんに相談するチャンスを逸してしまいます。

 

「相談する」ということは検証するということです。検証するタイミングを逃してしまったらあとは妄信する一方ですね

 

カルトの勧誘から間一髪で逃れることができたのは、「なにかおかしい」と思った時に正直に自分の直観を信じた人、そしてそれを誰かに相談することができた人たちです。

 

家族や友人、または消費者センターなど。大学生であれば、ご自身の大学の学生相談室を利用するとよいでしょう。きっと力になってくれます。

 

最後に、こんな言葉を紹介しておきましょう。

 

いい事を言っていたとしても、所詮はカルト

 

いい人が、いい事をしようとして、酷いことをしているのがカルトである。

 

付録 親が異変に気付くポイント  

 

親元を離れて大学に通うお子さんもこの連休にはまたもどってくることもあると思います。
そのときに、「何かおかしい」と感じることがあったら、「今どんなサークルに入っているのか」を聞いてみてください。

 

まだ教義の教え込みが浅い段階であるならば、組織の実態や被害の状況などを教えるだけで、比較的スムーズに離脱できます。

 

*ただし、感情的になって問い詰めたりしては逆効果です。ゆっくりと落ち着いて話をすることが大切です。

 

なお、子供さんがカルト宗教に入信したときの特徴的な変化を以下にまとめます。

 

@生活時間が突然、朝早く、夜遅くなる。

 

Aお笑いやバラエティ番組を一切見なくなる。家族団らんを避け、ひとりで部屋に閉じこもるようになる。

 

Bマンガ雑誌などを一切読まなくなる。

 

Cタバコや酒を一切たしまななくなる。喜んで行っていた友人との飲み会にも行かなくなる。

 

*@〜Cは教義で「魂が汚れる」とか「時間の浪費」などと教えられているため。

 

D親に反抗的・無関心だったのに、急に優しくなる。家事を手伝ったり、「愛してくれてありがとう」など口頭もしくはカードなどで伝えてくる。

 

*親に怪しまれないように教団から指示を受けている可能性がある。

 

(恵泉女学園大学の川島堅二学長による。 朝日新聞2013年4月13日の記事より)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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